1月11日、金山彦神社・金山媛神社にて、
肥前春日流の神事である「剣降の儀」と「袴着の儀」が執り行われました。

「剣降の儀」は、氏神より護り刀を授かり、一年の精進を誓う神事であり、
「袴着の儀」は、三歳になる男児に袴の着用を許し、健やかな成長を願う神事です。
もともと、これら神事は肥前春日流宗家である上瀧家に伝わる新年行事でしたが、
昨年までは略式で執り行うに留めていました。
これは、発祥の地を遠く離れたことにより、上瀧家由来の氏神とのご縁が離れてしまったことに加え、
従来は家内儀礼であるものを、道場儀礼として完全に再現すること自体が難しかったからです。
宗家いわく、新年の訪れや子供の成長を寿ぎ、祝う行事・習慣は、
それぞれに形は違えども、どこの家でも見られたものなのだそうです。
ですが、時代が下るとともにそういった習慣は少しずつ廃れ、
忘れられて行っているのが現状とのこと。
宗家は、この伝統を、肥前春日流の教伝として次代へと遺す手立てはないものか、と悩んでいました。
そんな中、とあるきっかけから、師範代を通して両神社とのご縁を頂くこととなった昨年の秋。
こちらの宮司さんが、肥前春日流の教伝に興味を持ってくださりました。
当初は、神事にあたってのお祓いなどをお願いできれば……といったところから始まったこのお話、
内容を話すごとに本格的になっていき、宗家は恐縮しきりだったとのこと。
こうして、宮司さんのおかげで、長いことできなかった神事を、
明治以来百数十年ぶりに執り行えることになりました。
全面的にご協力を頂いた宮司さんならびに関係者の皆様方には、
心より感謝しています。
両神社があるのは、大阪府柏原市。
金山彦神社は、閑静な集落を抜けた山のふもとに静かにたたずんでおり、
そこから山道を登った中腹に、金山媛神社があります。
ご祭神である金山毘古神命・金山毘売神は、鉱山や金属、金工を司っておられます。
ですから、刀槍を以て家を守り身を立てる武門にとっても、
大いなるご加護を垂れたもうありがたい神様なのです。
両神社のご由緒や、神事については、
いずれ肥前春日流の公式HPで詳しくご説明をさせていただきます。
ひとまず、長くなったのでこのあたりで一息。
次の記事では、当日のご様子をお伝えいたします。
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